原著
先天性胆道拡張症と膵障害―膵管胆道合流異常との関係について―
三浦 連人, 田村 利和, 川原 弘行, 矢田 清吾, 大久保 卓, 三好 康敬, 宇高 英憲, 古味 信彦
徳島大学第1外科
膵管胆道合流異常(以下合流異常)を有する先天性胆道拡張症(以下本症)での膵障害について臨床的および実験的に検討した.本症56例中,発熱,腹痛,高アミラーゼ血症の膵炎様症状を9例に認め,成人例で肝外胆管拡張形態では嚢胞状,合流異常形態では古味b型を示す頻度が高く,結石合併率,細菌検出率は低い傾向があった.3例に術中肉眼的に膵炎を認め,物理的要因の存在が認められた.実験的に古味b型合流異常モデル犬を用い膵障害を検討したところ,乳頭部の機能異常が認められたが,明らかな膵障害は認められなかった.以上より,本症での膵障害発現の機序として,合流異常による乳頭部の機能異常および物理的要因により活性化膵酵素の膵への逆流が示唆された.
索引用語
先天性胆道拡張症, 膵管胆道合流異常, 膵炎
日消外会誌 21: 2567-2572, 1988
別刷請求先
三浦 連人 〒770 徳島市蔵本町2-50 徳島大学医学部第1外科
受理年月日
1988年7月13日
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