原著
膵頭十二指腸切除後の膵液瘻―特に膵空腸吻合術について―
宮本 幸男, 竹下 正昭, 蒔田 富士雄, 井上 智博, 棚橋 美文, 泉雄 勝, 横森 忠紘1)
群馬大学医学部第2外科, 小千谷総合病院1)
膵頭十二指腸切除後,膵空腸吻合44例で膵液瘻の原因につき,手術時の黄疸と残存膵の膵管直径から検討した.膵液瘻の発生率は44例中11例25%であった.手術直前のビリルビン値との関係では,その発生率は5 mg/dl以上の11例中5例45.4%,4.9 mg/dl以下の33例中6例18.1%であった.膵管直径との関係では黄疸例で直径2 mm以下の4例では75%,2.1~4 mmの3例では66.6%で,4.1 mm以上の4例では0%であった.黄疸の無い例では2 mm以下の14例中21%,2.1~4 mmの8例中12%,4.1 mm以上の8例では12%であった.黄疸例で膵管の細い症例に膵液瘻の発生が多い傾向であった.
索引用語
膵頭十二指腸切除, 膵液瘻, 閉塞性黄疸, 残存膵の膵管径
日消外会誌 21: 2573-2576, 1988
別刷請求先
宮本 幸男 〒371 前橋市昭和町3-39-15 群馬大学医学部第2外科
受理年月日
1988年7月13日
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