原著
食道静脈瘤に対する左開胸開腹横隔膜切開食道離断術の臨床的評価
豊永 政和, 平岡 武久, 田中 秀明, 田代 征記, 宮内 好正
熊本大学第1外科
食道静脈瘤に対して硬化療法が広く行われている現状において,外科的治療法の臨床的意義を,左開胸開腹横隔膜切開食道離断術施行症例67例の成績から検討した.5年累積生存率は全体で74.3%,Child分類別ではChild A 100%,B 75.2%,C 53.7%であった.早期死亡は2例(3.0%)で,遠隔時死亡は肝不全死8例(11.9%),出血死3例(4.5%)であった.手術安全限界に遠隔成績を加味した術前肝機能の検討で,術前のICG血中消失率0.075を境界に,5年累積生存率が88.8%と52.5%にわかれ有意差を認めた.従来の手術安全限界よりさらに厳しい0.075以上の症例で,手術的にきわめて安全でしかも良好な長期予後が得られ,本術式の意義があると思われた.
索引用語
食道静脈瘤, 左開胸開腹横隔膜切開食道離断術, ICG血中消失率, 内視鏡的硬化療法
日消外会誌 21: 2685-2689, 1988
別刷請求先
豊永 政和 〒860 熊本市本荘1-1-1 熊本大学医学部第1外科
受理年月日
1988年9月14日
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