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第21巻 第12号 1988年12月 [目次] [全文 ( PDF 913KB)]
原著

イヌ実験食道癌における発癌初期病巣の病理組織学的検討ならびに核DNA分析

杉原 隆

東海大学外科(指導:三富利夫教授)

 ビーグル犬2頭にN-ethyl-N'-nitro-N-nitrosoguanidine(ENNG)を投与し食道に多発性の癌を発生させ,発癌初期の腫瘍の増殖様式について病理組織形態面および悪性度の客観的指標としての核DNA量分析の面から検討をおこなった.得られた上皮内癌54病巣をみると,深部置換型と全層置換型の明らかに異なる2つの形式が認められた.中でも表層の極性を保ちながら基底層,傍基底層を中心に下方への浸潤を示す深部置換型上皮内癌が全体の2/3と極めて高率に認められた.また核DNAヒストグラムの検討でも粘膜の深層にaneuploidyを認め,この基底層,傍基底層を中心とした増殖様式が本イヌ実験食道癌における初期進展様式の1つの特徴と考えられた.

索引用語
実験癌, 実験食道癌, 食道上皮内癌, DNA, N-ethyl-N'-nitro-N-nitrosoguanidine

日消外会誌 21: 2695-2702, 1988

別刷請求先
杉原 隆 〒151 渋谷区代々木1-2-5 東海大学医学部附属東京病院外科

受理年月日
1988年9月14日

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