原著
転移性肝癌の超音波像―胃癌と大腸癌の比較検討―
小川 吾一, 矢次 孝, 森田 茂利, 江藤 敏文, 宮本 峻光, 井沢 邦英, 原田 昇, 土屋 凉一
長崎大学第2外科
過去4年間に経験した胃癌および大腸癌の肝転移症例(胃癌10例,大腸癌14例)について,転移巣ultrasonography(US)像を比較検討した.腫瘍の大きさは大腸癌(4.6±1.3 cm)の方が胃癌(3.3±1.4 cm)より有意に大きかった.形状は両者ともに大きくなるにつれ球形からヤツガシラ形となる傾向を認めた(p<0.05).エコーレベルは両者とも低・等から高・混合エコーになる傾向を認めた(p<0.05).境界US像は,腫瘍側境界において胃癌では平滑~こまかい凹凸が多く(8/10),大腸癌ではあらい凹凸が多かった(6/14).境界US像は腫瘍辺縁部における増殖形態を表し,原発巣の性質を反映すると考えられるので境界部のUS所見の検討も重要であると思われた.
索引用語
転移性肝癌, 転移性肝癌超音波像, 転移性肝癌超音波halo像, 転移性肝癌境界ultrasonography像
日消外会誌 21: 2724-2729, 1988
別刷請求先
小川 吾一 〒857-01 佐世保市瀬戸越町2-15-2 長崎労災病院外科
受理年月日
1988年9月14日
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