原著
他臓器に浸潤した胸部食道癌の外科治療に関する検討
米川 甫, 島 伸吾, 杉浦 芳章, 吉住 豊, 後藤 正幸, 白石 祐之, 田中 勧
防衛医科大学校第2外科
他臓器浸潤胸部食道癌52例を対象としてその浸潤臓器別に外科的治療の成績を検討し,他臓器合併切除の適応につき考察した.
1)大動脈浸潤を伴う13例の1年生存率は23.1%であり,気管浸潤を伴う13例の1年生存率は15.4%であった.大動脈・気管への浸潤例では他にも臓器浸潤を伴う症例やリンパ節転移(n-number)が高い症例が多かった.
2)大動脈浸潤例では癌の浸潤が小範囲に限局し,リンパ節転移がN2以下である症例にかぎり大動脈外膜切除の適応があると考える.気管浸潤に対する気管の合併切除・再建術の適応と手技は今後の問題と思われた.
3)肺や心嚢などへの浸潤例では約半数においてリンパ節転移はn2以下であり,積極的な合併切除により予後の改善が期待される.
索引用語
A3食道癌他臓器合併切除, A3食道癌手術成績
別刷請求先
米川 甫 〒359 所沢市並木3-2 防衛医科大学校第2外科
受理年月日
1988年10月12日
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