原著
多発胃癌の臨床病理学的検討
斉藤 善広, 大内 明夫, 後藤 慎二, 松野 正紀
東北大学医学部第1外科
過去14年間に経験した多発胃癌症例49例,104病巣に関し臨床病理学的検討を行うとともに背景粘膜との関連性も検討した.多発胃癌は同時期の全胃癌切除例の4.4%の頻度であり,近年増加傾向が認められている.組織学的には分化型癌が全病巣の78.8%を占め早期の分化型癌が多かった.背景粘膜の検索より腸上皮化生粘膜と分化型癌の発生に相関が認められ,腸上皮化生の進んだ高齢者,特に60歳以上の男性に多発する傾向が認められた.以上より,高齢者胃癌の診断,外科治療の際には,見落とし病巣のないよう腸上皮化生粘膜の詳細な検索が必要と考えられる.
索引用語
多発胃癌, 腸上皮化生, 胃癌の背景粘膜
別刷請求先
斉藤 善広 〒980 仙台市星陵町1-1 東北大学医学部第1外科
受理年月日
1988年10月12日
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