原著
副肝管の臨床的検討
松永 章, 篤永 荘司, 武田 稔, 桑原 義明, 大庭 聡, 有田 恒彦, 松添 慎一, 中村 秀三1), 西田 博之1), 矢野 真1), 中山 和道1)
佐世保共済病院外科, 久留米大学第2外科1)
過去8年間の胆石症手術例663例中19例(2.9%)の副肝管症例を経験し,この中の2例を損傷したので,その臨床的意義について検討した.術前診断率は10/19(53%)と比較的に高率であったが,これは内視鏡的逆行性胆道造影(endoscopic retrograde cholangiography:ERC)を積極的に施行した結果によるものと思われた.2例の術中損傷例はいずれも副肝管が胆嚢管に合流する型式であり,逆行性胆摘術中に損傷した.1例は修復術を行ったが,他の1例はこれを結紮した.予後は,いずれも良好であった.このような型式の副肝管の診断は,術中造影でも不可能なこともあり,術前のERCの意義が確認された.副肝管損傷の予防には,術前の積極的ERCの施行と,さらに手術は順行性胆摘術が安全である.
索引用語
副肝管, 副肝管損傷, accessory hepatic duct, aberrant hepatic duct, 順行性胆摘術
別刷請求先
松永 章 〒857 佐世保市島地町10-17 佐世保共済病院外科
受理年月日
1988年10月12日
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