肝門部胆管閉塞に対する部分的胆道減圧術後の胆汁中ビリルビン排泄に関する実験的研究

田中　信孝, 岡本　英三, 神野　浩樹

兵庫医科大学第1外科

　肝門部胆管閉塞部分的解除後の胆汁分泌動態・ビリルビン排泄の検討のため，ラットで30％領域胆管を外瘻とした．主として胆汁酸負荷による検討で，a）70％選択的胆管閉塞（SBO）で対照と同等の胆汁分泌・ビリルビン排泄能を，70％選択的胆汁血症で胆汁分泌亢進のないビリルビンの排泄増加を認めた．b）黄疸群では閉塞解除早期に大量のビリルビン排泄をみた後，70％SBOと30％SBOの同時施行1週間群が対照と同等の反応を示し，70％SBO 3週間30％SBO 1週間の異時性選択的閉塞群では胆汁分泌の亢進ビリルビン排泄の著しい低下をみた．以上は，肝門部胆管閉塞での減黄効果，胆汁分泌動態を念頭においた臨床的対応の必要性を示唆するものである．

索引用語
肝門部胆管閉塞, 部分的胆道減圧, 胆汁中ビリルビン

別刷請求先
田中　信孝　〒289-25　旭市イの1326　旭中央病院外科

受理年月日
1988年10月12日

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