原著
食道静脈瘤に対する治療法の選択
小林 研二, 塩崎 均, 矢野 外喜治, 窪田 剛, 山田 毅, 矢野 浩司, 田村 茂行, 田原 秀晃, 奥 邦彦, 宮田 幹世, 名越 淳介, 門田 守人, 森 武貞, 水谷 澄夫*, 岡川 和弘*
大阪大学第2外科, 公立学校共済組合近畿中央病院*
過去13年間に当科で108例の食道静脈瘤に対して直達手術療法(食道離断術50例,胃上部切除50例,胃上部静脈郭清ならびに摘脾8例)を行った.また過去7年間に95例の内視鏡的硬化療法を行った.肝硬変患者に限っての生存率は,手術療法では3生率79.2%,5生率72.2%,10生率57.5%,内視鏡的硬化療法(非手術既往例42例)では3生率71.2%,5生率53.4%であり,両者の間には有意差は認められなかった.しかし,硬化療法では静脈瘤の再発率が高いので,耐術適応のある患者には,手術療法が第1選択と考えられる.(肝障害が重度で,手術適応外で,硬化療法でも対処し難いものには食道静脈瘤の原疾患である肝臓に対する根治療法としての肝移植が必要かもしれない.)
索引用語
食道静脈瘤直達手術, 内視鏡的硬化療法, 肝移植による食道静脈瘤の治療
別刷請求先
小林 研二 〒553 大阪市福島区福島1-1-50 大阪大学医学部第2外科
受理年月日
1988年12月14日
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