原著
癌細胞核DNAヒストグラムからみた胃癌リンパ節および肝転移巣の検討
西村 昌憲, 曽和 融生, 鄭 容錫, 芳野 裕明, 加藤 保之, 久保 俊彰, 前川 仁, 梅山 馨
大阪市立大学第1外科教室
胃癌39例を対象に,第1群リンパ節転移巣と肝転移巣のDNA patternを検討した.胃癌34例のDNA patternはIa型,7例,Ib型12例,II型9例,III型6例であり,第1群リンパ節転移巣ではそれぞれ4例,10例,11例,9例と転移巣でII・III型が増加した.原発巣DNA ploidy patternとの一致率は53%であった.DNA patternの変化症例の検討では,分化型癌,ps(-)癌でpolyploid化,aneuploid populationが出現する傾向であった.肝転移胃癌5例のDNA patternは全例II型で転移巣も一致した.以上のことから,原発巣でDNA diploidyを示しても転移巣で生物学的活性の高い細胞が出現することが示唆された.
索引用語
DNA ploidy pattern, 胃癌リンパ節転移, 肝転移胃癌
別刷請求先
西村 昌憲 〒545 大阪市阿倍野区旭町1-5-7 大阪市立大学医学部第1外科
受理年月日
1988年12月14日
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