特集
漿膜露出胃癌治療の工夫―adjuvant chemotherapyとしての腹腔内two-route chemotherapyの臨床応用の意義―
高尾 尊身, 徳重 正弘, 帆北 修一, 前之原 茂穂, 愛甲 孝, 島津 久明
鹿児島大学第1外科
腹膜播種性胃癌に対する腹腔内two-route chemotherapy(ip-TRC),すなわちCDDPの腹腔内投与と中和剤STSの静脈内投与併用療法に関する基礎的臨床的検討を行った.
ヌードマウスを用いた動物実験では,CDDPの毒性に対するSTSの強い中和効果が確認され,ヒト胃癌株による癌性腹膜炎モデルでのip-TRC治療実験においては,有意な延命効果が認められた.次いで,腹膜播種性胃癌20症例に対して本法を施行し,CDDPの体内動態,副作用,臨床効果について検討を行った結果,本法は腹膜播種性胃癌に対しても,また,漿膜露出胃癌における腹膜播種予防対策としても,adjuvant chemotherapyとして安全かつ簡便で有用な治療法と考えられた.
索引用語
漿膜露出胃癌, シスプラチン, 腹腔内two-route chemotherapy
別刷請求先
高尾 尊身 〒890 鹿児島宇宿町1208-1 鹿児島大学医学部第1外科
受理年月日
1988年10月12日
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