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第22巻 第4号 1989年4月 [目次] [全文 ( PDF 360KB)]
特集

肝障害と高齢者に対する肝切除

中島 保明, 宇根 良衛, 柿田 章, 内野 純一

北海道大学医学部第1外科

 1983年から5年間に当科で行った肝切除例136例について,65歳以上と未満に分け,術前の肝予備能について検討した.65歳以上は24例,17.6%であった.
 血清GOT,総ビリルビン,コリンエステラーゼ,アルブミン,ヘパプラスチンテスト,プロトロンビン時間には差を認めなかった.
 ICG 15分値,Rmax値は高齢者で有意な異常を示した.術後の肝不全発生率は高齢者において高かった.高齢者の肝不全例は4例であったが,いずれもICG 15分値15%以上,Rmax値0.4以下であった.
 以上より,術前肝予備能のうちでもICG 15分値,Rmax値の両者が異常を示す例では,術前後の適切な肝庇護療法とともに,肝切除量を最小限にとどめた上で,術後の肝不全発生に十分な監視と対策が必要と考えられた.

索引用語
肝障害, 高齢者, 肝切除

日消外会誌 22: 1027-1030, 1989

別刷請求先
中島 保明 〒060 札幌市北区北15条西7丁目 北海道大学医学部第1外科

受理年月日
1988年9月14日

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