特集
肝硬変を合併した胃癌の手術における肝機能障害の検討
新本 稔, 佐伯 俊昭, 地主 和人, 桐原 義昌, 高上 真一, 西山 正彦, 平井 敏弘, 柳川 悦朗, 服部 孝雄
広島大学原医研外科
昭和48年6月から昭和61年12月までの間に広島大学原医研外科において切除した胃癌症例は1097例である.そのうちの16例(1.5%)に肝硬変を認めており,これらの症例について,胃癌手術時における肝機能と手術侵襲について検討した.このような症例においては,肝硬変非合併症例よりも胃切除術時に出血量が増加しており,肝機能の面からも出血量に注意すべきである.そのためにはリンパ節郭清をある程度控え目にする必要があり,同時に大きな手術侵襲を加えるべきではない.肝機能についてはAlbumin,Cholin esteraseの低下している症例では術後の合併症に注意すべきである.また予後判定や手術に対する予備能に関しては,Childの分類が簡便でよいと考える.
索引用語
胃癌手術, 肝硬変, 肝機能障害
日消外会誌 22: 1035-1038, 1989
別刷請求先
新本 稔 〒734 広島市南区霞1-2-3 広島大学原医研外科
受理年月日
1988年10月12日
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