特集
肝硬変症および閉塞性黄疸例における術後黄疸
大内 清昭, 藤谷 恒明, Hashimoto Luis, 松原 修二, 松野 正紀
東北大学第1外科
3年間に教室で施行した手術例中,肝機能正常例での術後黄疸発生頻度は7.7%であったのに対し,肝硬変合併例でのそれは67%と高く,高度黄疸を呈した全例が死亡している.誘因として肝障害高度例に対する過大侵襲や,術中,術後の出血,重症感染症が考えられた.また,閉塞性黄疸術後死亡例の多くは出血が肝腎不全の誘因となっていた.実験的検討では,肝硬変,長期閉塞性黄疸では低血圧負荷後の肝腎局所循環の回復は不良であり,エネルギー代謝障害も遷延した.以上から,これら肝障害例では肝障害度に応じた適切な術式を選択すべきであり,出血による低血圧の招来は極力避けるべきである.
索引用語
術後黄疸, 肝硬変症, 閉塞性黄疸
日消外会誌 22: 1043-1047, 1989
別刷請求先
大内 清昭 〒980 仙台市星陵町1-1 東北大学医学部第1外科
受理年月日
1988年9月14日
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