原著
表在食道癌の肉眼分類とその組織学的特徴―sm癌を中心とした検討―
田原 秀晃, 塩崎 均, 小林 研二, 矢野 外喜治, 山田 毅, 矢野 浩司, 田村 茂行, 辻仲 利政, 城戸 良弘, 小川 道雄, 森 武貞, 若狭 研一1), 桜井 幹已1)
大阪大学医学部第2外科, 大阪大学医学部附属病院病理部1)
術前無治療表在食道癌25切除例を対象に,新肉眼分類案による肉眼型と組織学的特徴を,sm癌中心に検討した.O-I型とO-II型の腫瘍長径を比較すると,ep面ではおのおの2.3 cm,2.6 cmと同程度であるのに,sm層ではおのおの1.4 cm,0.5 cmとO-I型の方が有意に大きかった(p<0.01).しかし,他の組織学的特徴では差は認めなかった.次に,sm癌のうち混合型を示した病巣を,隆起型にO-IIb型のみを随伴するもの(IE型)8例と,隆起型と潰瘍型の併存するもの(UL型)4例とに分類し検討した.すると,UL型は全例がly(+),n(+)であり,浸潤型増殖を示すものが多かった.したがって,UL型病巣は,単純型およびIE型に比べ生物学的悪性度が高いと考えられた.
索引用語
表在食道癌, 表在食道癌肉眼分類
日消外会誌 22: 1051-1056, 1989
別刷請求先
田原 秀晃 〒553 大阪市福島区福島1-1-50 大阪大学医学部第2外科
受理年月日
1988年12月14日
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