原著
門脈塞栓術後の肝再生に関する実験的研究
石川 正志, 余喜多 史郎, 幕内 雅敏1)
徳島大学医学部第1外科(主任:古味信彦教授), 国立ガンセンター外科1)
イヌの門脈左枝に塞栓物質としてGelfoamを用いて門脈塞栓術を行い,塞栓術の肝におよぼす影響について検討した.門脈塞栓術後右葉は著明な代償性肥大をきたし,術後2週目で最大となったが,左葉は萎縮するため全肝重量は術後8週目までほぼ一定であった.門脈の再疎通所見は術後2週目から始まり,4週目では著明となったが,Gelfoam powderの方がcubesょり再疎通は起こり難かった.また肝血流量については右葉は術後4週目まで有意に増加した.血清生化学検査値では術後2週目で術前に復し,門脈塞栓術による肝機能障害は軽度であった.以上より塞栓物質としてはpowderの方がcubesよりも好ましく,門脈塞栓術後の肝再生は十分期待できると思われた.
索引用語
門脈塞栓術, 肝再生
日消外会誌 22: 1084-1092, 1989
別刷請求先
石川 正志 松山市春日町83 愛媛県立中央病院消化器外科
受理年月日
1989年1月11日
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