原著
肝細胞癌切除後の断端再発に関する臨床的検討
塚本 賢治, 弘中 武, 鴻巣 寛, 園山 輝久, 牧野 弘之, 浜頭 憲一郎, 糸井 啓純, 内藤 和世, 山岸 久一, 岡 隆宏
京都府立医科大学第2外科
肝細胞癌切除後の断端再発防止のためには,腫瘍からどれだけ離して肝切除を行うべきかを明らかにするために,肝細胞癌肝切除97例を対象として,切除後の再発形式と部位について検討した.断端再発は残肝再発46例中5例(11%)に認められた.これらの症例には亜区域切除以下の小範囲切除が行われていた.断端再発は組織学的被膜外浸潤が陽性で,肝切離面から癌病巣までの距離が2 mm以下の症例に限って認められたが,被膜外浸潤陰性例には認められなかった.これらの結果から,断端再発の要因としては,肝細胞癌の被膜外浸潤の遺残が重要であり,断端再発防止のためには,肝切離面から癌病巣までの距離を少なくとも3 mm以上確保することが必要と考えられた.
索引用語
肝細胞癌肝切除, 術後断端再発, 肝切離面における癌浸潤の有無
日消外会誌 22: 1093-1097, 1989
別刷請求先
塚本 賢治 〒602 京都市上京区河原町通広小路上ル梶井町465 京都府立医科大学第2外科
受理年月日
1989年1月11日
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