原著
大腸粘膜下浸潤癌の臨床病理学的分析とその治療方針
下田 聡, 武藤 輝一, 畠山 勝義, 井上 雄一朗, 須田 武保
新潟大学第1外科
大腸sm癌切除例117例,123病巣を対象として臨床病理学的分析および治療方針につき検討した.予後悪性因子陽性率はリンパ節転移9.4%,リンパ管侵襲21.4%,静脈侵襲19.7%でありわれわれが提唱したsm浸潤度分類とよく相関していた.sm癌に対する治療は術後機能障害と分析結果より結腸および腫瘍下縁が歯状線より2 cmのレベルから口側の直腸病巣に対しては浸潤度sm 1b以下すべてに進行癌に準じた根治術(ただし肛門機能温存のためAWは1 cmでよい)を,腫瘍下縁がこれより肛門側の直腸病巣に対しては直腸切断術の適応とするがその施行条件は脈管侵襲陽性,低分化腺癌あるいは未分化癌,sm 3とするのが妥当と考えられた.
索引用語
大腸sm癌, 大腸sm癌浸潤度分類, 大腸sm癌治療方針
日消外会誌 22: 1108-1115, 1989
別刷請求先
下田 聡 〒951 新潟市旭町通1-757 新潟大学医学部第1外科
受理年月日
1988年12月14日
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