原著
大腸癌の卵巣転移に関する検討
藤吉 学, 磯本 浩晴, 白水 和雄, 山下 裕一, 小畠 敏生, 梶原 賢一郎, 掛川 暉夫
久留米大学医学部第1外科
大腸癌卵巣転移の臨床病理学的特徴を明らかにするとともに,予防的卵巣摘除術の適応を明確にする目的で,原発巣切除を受けた女性大腸癌症例309例を対象として検討を行い,以下の結果を得た.1.卵巣転移を5例に認め,全体では5/309(1.6%),閉経前3/61(4.9%),閉経後2/248(0.8%)であった.2.卵巣転移は,深達度a2,s以上でなおかつリンパ節転移n2(+)以上の症例に認められた.3.腹膜播種陽性例では,卵巣転移は3/25(12%)と高率であった.以上より予防的卵巣摘除術の適応は,1)明らかに卵巣に異常のあるもの.2)腹膜播種のあるもの.3)明らかな漿膜浸潤や外膜浸潤があり,リンパ節転移高度なものと考えている.
索引用語
大腸癌, 転移性卵巣腫瘍, 大腸癌卵巣転移, 予防的卵巣摘除術
日消外会誌 22: 1116-1120, 1989
別刷請求先
藤吉 学 〒830 久留米市旭町67 久留米大学医学部第1外科
受理年月日
1988年12月14日
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