原著
直腸腫瘍に対する直腸局所切除術―とくに早期直腸癌に対する適応について―
中越 享, 下山 孝俊, 石川 啓, 三根 義和, 佐藤 哲也, 中尾 治彦, 宮下 光世, 横田 美登志, 高平 良二, 草野 裕幸, 清水 輝久, 福田 豊, 平野 達雄, 三浦 敏夫, 富田 正雄
長崎大学第1外科
直腸腫瘍に対する局所切除術15例について臨床病理学・細胞核DNA量の両面から検討し,早期直腸癌の局所切除術の適応について考察した.広基性m癌,絨毛腺腫,扁平腺腫の各1例の術後経過・予後とも良好で,良い適応と考えられた.進行癌には適応はないと考えられるが,姑息的治療として3例に採用した.sm癌7例のうち,中分化腺癌・脈管侵襲陽性・sm massive invasion・DNA aneuplodyの1例に再発を経験し,他の6例はすべて5年生存を得た.以上より,sm癌にも適応があるが,(1)隆起潰瘍型IIa+IIc型,(2)高分化腺癌以外,(3)sm massive invasion,(4)脈管侵襲陽性,(5)DNA aneuploidyのrisk factorがある場合は,本術式は避けるべきで,術後適応外と判断された場合は,再根治手術を行うべきである.
索引用語
早期直腸癌, 直腸局所切除術, 経仙骨的切除, 経括約筋的切除
日消外会誌 22: 1121-1126, 1989
別刷請求先
中越 享 〒852 長崎市坂本町7-1 長崎大学医学部第1外科
受理年月日
1988年12月14日
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