原著
食道癌の細胞核DNA量による悪性度と担癌宿主の免疫応答に関する研究
入江 均
久留米大学医学部外科学第1講座(主任:掛川暉夫教授)
食道癌の悪性度を明確にするため,腫瘍の悪性度を癌細胞の核DNA量の測定によって,また,宿主の免疫応答をモノクローナル抗体Leu7を用いてその陽性細胞浸潤度で検討した.パラフィンブロック標本134症例のDNA index(DI)をflow cytometryを用いて測定し,その90症例の癌局所のLeu 7陽性細胞浸潤度を間接酵素抗体法で測定した.低分化型扁平上皮癌,未分化癌の84%はdiploidを示し,中・高分化型扁平上皮癌では約50%にaneuploidを認めた.中・高分化型のDI値は,進行度が進むにつれて高値を示した.Leu 7陽性細胞浸潤度は低分化型・未分化癌で低く,またstageが進むにつれ低くなった.臨床的悪性度が高い早期再発死亡例はDI≧1.7でLeu 7陽性細胞浸潤度が軽度の症例に高頻度に認めた.
索引用語
食道癌細胞核DNA量, パラフィンブロック標本のDNA index, 食道癌細胞のflow cytometry, 食道癌局所のLeu 7陽性細胞浸潤度
日消外会誌 22: 1161-1171, 1989
別刷請求先
入江 均 〒830 久留米市旭町67 久留米大学医学部第1外科
受理年月日
1989年3月8日
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