原著
食道癌のリンパ節転移と治療成績
加藤 抱一, 日月 裕司, 渡辺 寛, 飯塚 紀文*
国立がんセンター病院外科(*現 国立王子病院)
食道癌切除867例におけるリンパ節転移をリンパ節の部位別に分類して,その転移率および予後から,リンパ節郭清の意義を検討した.癌の深達度が増すとリンパ節の平均転移個数が増加し,転移個数が増すと生存率が低下した.リンパ節の部位別の転移率は右縦隔最上部,左鎖骨上,右噴門,気管前,左噴門,左胃動脈幹,胸部上部旁食道リンパ節の順で高かった.リンパ節転移部位別の生存率では,右縦隔最上部,左噴門,胸部中部旁食道転移陽性例の予後が比較的良く,郭清の意義が有ると考えられた.気管前,右肺門,横隔膜,後縦隔,大動脈弓下,脾動脈幹リンパ節転移陽性例には3年生存者がなく,今までの郭清方法では予後に対して有効ではなかったといえる.
索引用語
食道癌リンパ節転移状況, 食道癌リンパ節転移率, 食道癌リンパ節郭清の意義, 食道癌の予後
日消外会誌 22: 1729-1737, 1989
別刷請求先
加藤 抱一 〒104 中央区築地5-1-1 国立がんセンター外科
受理年月日
1989年2月15日
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