原著
進行肝癌に対する肝切除
都築 俊治, 上田 政和, 飯田 修平1), 尾沢 巌, 菊池 嘉一郎, 杉岡 篤, 中安 邦夫, 笠島 学2)
慶應義塾大学外科, 1)現 練馬病院外科, 2)現 富山医科薬科大学第1外科
通常切除不能とされている肝癌15例(肝細胞癌14例,肝芽腫1例)に対して肝切除を行った.閉塞性黄疸合併例4例には減黄後肝切除を行い,1例が5年5か月生存しており,1例が3年6か月生存した.門脈本幹まで腫瘍栓が及んでいた6例では,1例が肝切除と種々の補助療法の組み合わせによって2年2か月生存した.癌が左右両葉に存在したH4症例5例に対しては主腫瘍を切除後副病巣を切除またはTAEによって治療する方式を行った.TAEを行った1例が3年9か月生存しており,他の1例が2年4か月生存した.
有効な非手術的治療が見当らない現在,このような肝切除を積極的に行うべきであると考えている.
索引用語
肝癌, 肝切除, 閉塞性黄疸, 門脈腫瘍栓, 進行肝癌の姑息切除
日消外会誌 22: 1791-1796, 1989
別刷請求先
都築 俊治 〒160 新宿区信濃町35 慶應義塾大学医学部外科
受理年月日
1989年3月8日
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