原著
特発生内胆汁瘻の臨床的検討
武田 明芳, 鈴木 茂, 宅間 哲雄, 木下 雅道, 清水 義金, 野田 良材, 桜井 貞夫, 恩田 昌邦, 炭山 嘉伸
東邦大学外科学第3講座
過去10年間に当科において経験した特発性内胆汁瘻症例は12例であった.その内訳は胆嚢十二指腸瘻:4例,総胆管十二指腸瘻:3例,胆嚢十二指腸―総胆管十二指腸瘻:1例,胆嚢胃瘻:1例,胆嚢結腸瘻:1例,胆嚢結腸―総胆管結腸―総胆管十二指腸瘻1例,胆嚢十二指腸―胆嚢結腸憩室瘻:1例であった.十二指腸との間に瘻孔を形成した10例では全例術前確定診断可能であったが,胃,結腸などと瘻孔を形成した2例は瘻孔開口部位同定不能であった.術前瘻孔部位不明例でも各種画像診断で周囲の炎症の波及が予想されており,内胆汁瘻を想定した慎重な手術操作により瘻孔を発見,切離閉鎖術を施行,場合により腸管部分切除などを付加し良好な予後を得ている.
索引用語
特発性内胆汁瘻
日消外会誌 22: 1797-1800, 1989
別刷請求先
武田 明芳 〒153 目黒区大橋2-17-6 東邦大学医学部第3外科
受理年月日
1989年2月15日
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