原著
大腸癌肝転移に対する肝切除の治療成績―その意義と問題点―
島津 元秀, 青木 春夫, 丸田 守人, 小森 義之, 蓮見 昭武, 菅谷 宏, 中野 孚, 河田 周三, 吉松 泰彦, 林 収, 鈴木 治郎, 橋村 宏一
藤田学園保健衛生大学消化器外科
大腸癌肝転移112例中30例(26.8%)に対し計32回の肝切除術を施行し,H120例,H210例および同時性14例,異時性16例に分けて,その切除成績を比較,検討した.肝切除例では累積5年生存率45.9%であり,非肝切除例に比べ有意に予後の改善が得られ,とくにH1の方がH2より予後良好であった.同時性と異時性では予後に差はなかったが,H1に限ると異時性の方が5年生存率80%と良好な傾向を示し,また異時性では原発巣手術から肝転移までの時間が短い症例に予後不良例が多かった.これらの成績をふまえて,H2に対する切除適応の拡大の意義と問題点および同時性と異時性肝転移の病態の相違を考察し,さらに補助化学療法についても言及した.
索引用語
大腸癌肝転移, 肝切除, 肝転移切除後の再発, 経動脈性・経門脈性化学療法
日消外会誌 22: 1826-1833, 1989
別刷請求先
島津 元秀 〒470-11 豊明市沓掛町田楽ヶ窪1-98 藤田学園保健衛生大学消化器外科
受理年月日
1989年2月15日
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