経肛門的超音波断層法による早期直腸癌の壁深度およびリンパ節転移診断

桂　禎紀, 吉中　平次, 石沢　隆, 山田　一隆, 春山　勝郎, 鮫島　隆志, 島津　久明, 政信　太郎^1）, 大井　秀久^1）

鹿児島大学第1外科, 鹿児島大学第2内科^1）

　経肛門的超音波断層法（trasanal ultrasonography以下，TAUSと略す）による直腸の早期癌17例の壁深達度および旁直腸リンパ節転移診断について検討した．その結果，壁深達度の正診率はm癌で75％（6/8例），sm癌で89％（8/9例）であった．またsm癌9例中1例にみられた旁直腸リンパ節転移を指摘でき，早期癌のリンパ節転移診断にも有用であることが示唆された．このようにTAUSは早期直腸癌のより正確な壁深達度診断が可能であるばかりでなく，リンパ節転移診断についても有用と考えられ，その初回治療方針を決定する上で是非必要な検査法である．

索引用語
経肛門的超音波断層法, 早期直腸癌の診断, 直腸癌の壁深達度診断, 直腸癌のリンパ節転移診断

別刷請求先
桂　禎紀　〒890　鹿児島市宇宿町1208-1　鹿児島大学医学部第1外科

受理年月日
1989年3月8日

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