原著
進行胃癌に対する長期Tegafur投与(1年以上)症例の検討
今野 弘之, 青木 克憲, 鳥山 裕史, 中村 昌樹, 阪口 周吉
浜松医科大学第2外科
当科において術後1年以上継続的にTegafurが投与されたn(+)またはps(+)の胃癌治癒切除症例を対象として,進行胃癌に対するTegafurの長期投与の効果を検討した.長期投与の再発例ではps(+)が87.5%であり,非再発例の33.3%と比較し有意に高率で,特にse症例の71.4%に再発を認めた.再発形式も腹膜再発が最も多かった.またTegafur中期投与症例(3ヵ月以上1年未満の投与)との累積生存率の比較を行ったが,Tegafur長期投与によりstage IIIおよびn2症例において延命効果が認められたものの,se症例では中期投与との間に有意な差を認めなかった.これらの結果よりps(+),特にse症例における腹膜再発防止のためには経口制癌剤の長期投与のみでは限界があり制癌剤の術中腹腔内投与などの他の治療方法と組み合わせた集学的な治療が必要であることが示唆された.
索引用語
胃癌手術補助化学療法, 長期制癌剤投与, Tegafur
日消外会誌 22: 2000-2003, 1989
別刷請求先
今野 弘之 〒431-31 浜松市半田町3600 浜松医科大学第2外科
受理年月日
1989年3月8日
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