原著
十二指腸乳頭部癌の臨床病理学的研究―予後規定因子と再発様式について―
新井田 達雄
東京女子医科大学消化器外科学教室(指導:羽生富士夫教授)
乳頭部癌67例を対象に,胆道癌規約の項目について,生存期間への影響の大きさをCoxの比例ハザード法で解析し予後規定因子を検討した.さらに,再発様式を再手術,剖検,画像診断から検討した.有意な予後規定因子は,リンパ節転移と膵臓浸潤であった.十二指腸,膵臓浸潤と脈管浸潤,リンパ節転移,肉眼型は強い相関を示し,膵臓浸潤を認めると潰瘍形成群が増加し,神経周囲浸潤も認めた.(14)腸間膜根部リンパ節に22.3%と高率に転移を認めた.再発様式は同リンパ節再発が19.4%と特徴的であった.とくに膵臓浸潤がない例では,リンパ節転移が予後を規定し,晩期に同リンパ節に再発した.膵臓浸潤例は,リンパ節転移にかかわらず予後不良で,血行性転移も認め,75.0%が早期に再発した.
索引用語
十二指腸乳頭部癌, 乳頭部癌予後規定因子, 乳頭部癌リンパ節転移, 乳頭部癌膵臓浸潤, 乳頭部癌の(14)腸間膜根部リンパ節再発
日消外会誌 22: 2009-2017, 1989
別刷請求先
新井田達雄 〒162 新宿区河田町8-1 東京女子医科大学消化器病センター外科
受理年月日
1989年3月8日
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