原著
肝虚血障害に対するCa拮抗剤塩酸diltiazemの効果
和田 隆昭, 中島 祥介, 瀬川 雅数, 金廣 裕道, 久永 倫聖, 松本 宗明, 福岡 敏幸, 藪内 裕也, 村尾 佳則, 中野 博重
奈良県立医科大学第1外科
虚血障害は究極的にはCaイオンの細胞内へのinfluxにより生じるとの説がある.そこでCa拮抗剤(塩酸diltiazem以下DZ)が肝虚血障害に対して防御効果を有するか否かを,雑種成犬を用いて肝流入血行遮断による肝虚血モデルを作成し,無処置群とDZ投与群において検討した.DZを投与することにより,肝虚血後の肝組織血流量および動脈血中ケトン体比が,無処置群に比べて良好に回復したことから,DZは肝虚血障害に対する防御効果を有するものと考えられた.さらに,全身循環動態に影響をおよぼさないで,肝虚血障害を防御できるDZの至適血中濃度は150 ng/ml前後であることを確認した.
索引用語
肝虚血障害, 虚血障害防御効果, Ca拮抗剤, 塩酸diltiazem
日消外会誌 22: 2018-2024, 1989
別刷請求先
和田 隆昭 〒634 橿原市四条町840 奈良県立医科大学第1外科
受理年月日
1989年3月8日
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