原著
消化器疾患多臓器不全における免疫学的検討
松野 直徒*, 渕本 定儀, 高倉 範尚, 上川 康明, 折田 薫三
岡山大学第1外科, (*現・東京医科大学八王子医療センター臓器移植外科)
術後多臓器不全(multiple organ failure以下MOF)患者の免疫不全状態を把握することを目的としてMOF 10例非MOF 10例を比較検討した.MOF例では血清補体CH50が20.8±4.8 U/ml,C3が41.6±19.5 U/mlと低く,リンパ球幼若化反応もMOFでPHA 6,035±688 cpm,ConA 3,635±297 cpmと,MOF例における細胞性免疫の著しい低下を認めた.リンパ球サブセットにおいてはOKT3,OKT4/8,HLA-DR-Leu4+,HLA-DR-Leu2+,Leu15-Leu2+はMOF例で46.4±12.3%,1.8±0.8,39.7±11.6%,12.3±5.7%,19.4±5.6%と非MOF例より低値を示した.エンドトキシン値はMOF例では92.7±76.2 pg/mlと高値を認めた.
以上より多臓器不全患者では.重症免疫不全状態にあり,免疫療法の必要性が示唆された.
索引用語
多臓器不全, 免疫療法, エンドトキシン, 免疫不全
日消外会誌 22: 2047-2052, 1989
別刷請求先
松野 直徒 〒193 八王子市館町1163 東京医科大学八王子医療センター臓器移植外科
受理年月日
1989年4月12日
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