原著
食道癌術前照射と手術侵襲が宿主免疫能におよぼす影響―リンパ球,T cellサブセットよりみた検討―
濱頭 憲一郎, 山岸 久一, 内藤 和世, 鴻巣 寛, 塚本 賢治, 糸井 啓純, 松田 明, 岡 隆宏
京都府立医科大学第2外科
食道癌に対する術前照射が宿主の免疫能,とくに外科手術後の免疫能に与える影響を解析し,術前照射を併用する場合の問題点を明らかにした.1期的に切除しえた食道癌15例を対象とし,照射前後,手術前後にin vitroで細胞性免疫能の検査を行った.術前照射群は,照射によって総リンパ球数は1,000/mm3以下となり,この低下は手術後30日を経過しても改善されなかった.T cellサブセットでは,OKT4の低下が著明で,この低下はhelper T cellに起因しており,手術後30日を経過しても改善されておらず,手術単独群と比べて有意に低下していた(p<0.001).
宿主免疫能の立場からは,食道癌に対する術前照射はマイナスの因子と考えられた.
索引用語
食道癌術前照射, 食道癌患者免疫能
日消外会誌 22: 2183-2187, 1989
別刷請求先
濱頭憲一郎 〒602 京都市上京区河原町通広小路上ル梶井町465 京都府立医科大学第2外科
受理年月日
1989年5月8日
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