原著
胃切除後食道癌に対する外科的治療の検討
今野 修, 渡辺 正俊, 阿部 幹, 八子 直樹, 渡辺 善二郎, 遠藤 幸男, 井上 仁, 元木 良一, 寺西 寧*
福島県立医科大学第1外科, *東北歯科大学外科
胃切除後に発生した食道癌の外科治療上の問題点について自験例を中心に検討を加えた.対象例は切除症例160例中8例(5%)であったが最近増加する傾向にある.既往疾患は良性が6例と多く,食道癌発生までの期間は10年以上経過例が5例を占めた.術前の検査成績を通常の食道癌症例(対照例)と比較すると貧血,低蛋白の傾向にあったが有意ではなかった.
再建法はIm症例は回結腸を,Ei症例は空腸を用いた症例が多かった.手術時間,術中出血量は対照例に比べ大であり特に結腸再建例でその傾向が強かった.また,手術成績は直死3例,退院死2例と不良であった.切除標本で3例に胃壁内食道癌の転移を認めており残胃の温存には慎重を期すべきである.
索引用語
胃切除後食道癌, 残胃内食道癌転移, 異時性食道重複癌
日消外会誌 22: 2188-2193, 1989
別刷請求先
今野 修 〒960-12 福島市光が丘1 福島県立医科大学第1外科
受理年月日
1989年5月8日
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