原著
食道再建胃管における用指的幽門括約部開大法―胃幽門運動機能からみた有用性―
河野 辰幸, 遠藤 光夫, 吉野 邦英, 滝口 透, 山崎 繁, 下重 勝雄, 鈴木 知行, 永井 鑑, 伊藤 金一, 井上 晴洋, 山際 明暢
東京医科歯科大学第1外科
亜全胃による食道再建における用指的幽門括約部開大(pyloric digital dilatation:DD)法の臨床的意義を,35例の食道癌症例を対象とし,従来のpyloromyectomy(PM)法と比較しつつ,X線VTR録画,アセトアミノフェン排出試験,幽門前部pH連続測定などにより,胃幽門運動機能,十二指腸胃逆流の面から検討した.本法はきわめて簡便で,均一な操作が可能であったが,120%バリウムや特製全粥試験食の排出は,PM群に比べやや遅い傾向を示した.しかし,幽門洞部および幽門の運動は本来の運動態度により近く,これは生理的排出という面に限らず,十二指腸胃逆流に関しても有利であると考えられた.
索引用語
食道再建胃管, 用指的幽門括約部開大法, 幽門形成術, 胃幽門運動機能, 十二指腸胃逆流現象
日消外会誌 22: 2194-2198, 1989
別刷請求先
河野 辰幸 〒113 文京区湯島1-5-45 東京医科歯科大学第1外科
受理年月日
1989年4月12日
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