原著
神経原性ストレス胃潰瘍に関する実験的研究―麻酔下開腹覚醒後拘束ストレス法の考案―
吉田 明彦, 坂田 一記, 佐治 重豊, 大橋 広文1)
岐阜大学第2外科, 県立岐阜病院外科1)
実験的クモ膜下出血ラットに対し,エーテル麻酔下1時間開腹覚醒下3時間拘束(開拘)によるストレス胃潰瘍モデルを考案し相対潰瘍長11.6 mm(数値は平均値,n=5)を得た.これは3時間拘束水浸(拘水)時の12.6 mmに匹敵し,単純拘束(単拘)時の2.7 mmより有意に大であった.この潰瘍出現は交切,迷切により抑制され,副腎摘出では抑制されなかった.ストレス負荷中の胃粘膜血流および総酸分泌量は単拘>開拘>拘水の関係を示し,単位血流量当たりの酸産生能を示す酸血流比は,単拘・開拘・拘水それぞれ2.56,2.87,1.80であった.すなわち開腹拘束ストレスは拘束水浸ストレスに比べ,胃粘膜血流量の減少は軽度で,酸分泌能亢進状態にあると考えられた.
索引用語
神経原性ストレス潰瘍, クモ膜下出血, 手術侵襲, 胃酸分泌, 胃粘膜血流
日消外会誌 22: 2199-2207, 1989
別刷請求先
吉田 明彦 〒500 岐阜市司町40 岐阜大学医学部第2外科
受理年月日
1989年5月8日
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