原著
穿孔性十二指腸潰瘍に対する選択的近位迷走神経切離術―胃生理機能からみた検討―
近藤 泰理, 生越 喬二, 宮治 正雄, 岩田 邦裕, 原 俊介, 花上 仁, 三富 利夫
東海大学医学部外科
昭和53年から62年までの10年間に選択的近位迷走神経切離術を施行した十二指腸潰瘍穿孔例68例を同期間に経験した十二指腸潰瘍待期手術例33例を対照として検討した.穿孔6か月以内の消化器症状の有無から穿孔例をそれぞれ急性例,慢性例に2分すると急性例30例(44.1%),慢性例38例(55.9%)であった.年齢,性別分布に差は認められず,穿孔を起こしたと思われる時刻は16時から22時までの6時間に約半数が集中していた.胃液酸度を術後2年まで検討した結果,穿孔例は術後いずれの時期においても待期例に比べ高酸で,特にガストリン刺激において有意であった.穿孔例の術後の胃液酸度を検討すると遠隔時に慢性例が急性例に比べて高酸になる傾向を示した.
索引用語
十二指腸潰瘍, 穿孔性十二指腸潰瘍急性例, 穿孔性十二指腸潰瘍慢性例, 選択的近位迷走神経切離術兼穿孔部大網充填術, 胃液酸度
日消外会誌 22: 2208-2211, 1989
別刷請求先
近藤 泰理 〒259-11 伊勢原市望星台 東海大学医学部外科
受理年月日
1989年4月12日
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