原著
外科的治療が行なわれたStage IV胃癌の検討
矢川 裕一, 小川 健治, 勝部 隆男, 稲葉 俊三, 小川 智子, 石川 信也, 平井 雅倫, 梶原 哲郎
東京女子医科大学付属第二病院外科
Stage IV胃癌152例を,おもに外科的観点より検討した.規定因子は,単一因子が55.9%と過半数を占め,その遠隔成績はS,N,P,Hの順に良かった.さらに,各因子を程度別にみると,N3とN4,P1とP2,H1とH2の間に差があった.多因子規定症例では,P(-)H(-)が良好で,P(+)H(+)で1年以上生存例はなかった.施行手術では,切除率は73%で,遠隔成績は1,2因子規定例で,切除例は非切除例にくらべ良好であった.S,N規定の治癒切除例はすべて2年以上生存しており,PではP1,HではH1のみ切除例が予後良好であった.Stage IV胃癌を亜分類すると,(1)S3・N3,(2)P1・H1・N4,(3)P2・P3・H2・H3となり,この3群間の遠隔成績に有意差をみた.
索引用語
Stage IV胃癌, 胃癌予後規定因子, 胃癌の亜分類, 胃癌切除率
日消外会誌 22: 2242-2247, 1989
別刷請求先
矢川 裕一 〒116 荒川区西尾久2-1-10 東京女子医科大学第二病院外科
受理年月日
1989年5月8日
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