原著
十二指腸乳頭部癌切除例の進展様式からみた長期生存因子の検討
小針 雅男, 網倉 克己, 浅野 晴彦, 木村 良直, 松野 正紀
東北大学第1外科
十二指腸乳頭部癌切除41例を対象に進展様式からみた長期生存の条件を検討した.Stage別5年生存率はStage I 63.2%,Stage II 51.9%,Stage III以上0%であった.組織学的進展度別5年生存率はpanc0 60.3%,panc1 14.3%,panc2 0%,n0 63.9%,n128.9%,n2 0%であった.Stage Iの組織学的進展度は低率で,リンパ節転移は1群にとどまったが,Stage II以上では進展度が急増し,リンパ節転移も2群を越えていた.以上より長期生存の条件としてはStage Iで膵浸潤やリンパ節転移のないことがあげられた.外科的治療としてはStage Iに対しては標準的膵頭切除で十分だが,StageII以上の進行癌には補助療法を伴う拡大膵頭切除術が必要である.
索引用語
長期生存の因子, Stage I乳頭部癌, 脈管浸潤, 膵臓浸潤
日消外会誌 22: 2248-2255, 1989
別刷請求先
小針 雅男 〒980 仙台市青葉区星陵町1-1 東北大学医学部第1外科
受理年月日
1989年4月12日
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