原著
肝細胞癌の術後残肝再発に関する臨床病理学的検討
黒田 雄志1), 岡崎 正敏, 小野 広幸2), 五十君 裕玄, 志村 秀彦1)
福岡大学第1外科1), 同放射線科2)
最近5年9か月間に根治手術が可能であった肝細胞癌55例を対象に再発様式,再発因子について検討を加え,以下の成績を得た.1)23例(41.8%)の高率に再発を認めた.2)再発までの平均期間は術後10.9±6.0か月で,再発発見時に主腫瘍径が5 cm以下の21例は,すべて術後2年未満に再発した.術後2年間無再発症例は再発の危険性が低いと考えられた.3)再発様式は主腫瘍径2 cm以下の多発小結節が切除断端以外の他区域にも存在するものが最も多かった.4)肝切除時の娘結節の有無や顕微鏡的門脈内腫瘍塞栓の有無などが再発と強く相関し,進行度判定に重要と考えられたが,単発病変の腫瘍径や術前Transcatheter arterial embolizationの有無などは再発と相関しなかった.
索引用語
肝細胞癌, 術後残肝再発, 娘結節, 門脈内腫瘍塞栓, 術前肝動脈塞栓療法
日消外会誌 22: 2256-2264, 1989
別刷請求先
黒田 雄志 〒814-01 福岡市城南区七隈7-45-1 福岡大学医学部第1外科
受理年月日
1989年4月12日
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