原著
血管造影描出不能肝細胞癌の組織学的特徴
調 憲, 園田 孝志, 松股 孝, 竹中 賢治, 兼松 隆之, 杉町 圭蔵, 安森 弘太郎*, 増田 康治*
九州大学第2外科, 同放射線科*
腹部血管造影で描出不能の比較的小さな肝細胞癌が増加している.その組織学的な性格を明らかにするために以下の検討を行った.対象は術前化学療法が施行されず,切除標本での最大径3 cm以下の肝細胞癌22例,25結節.血管造影で腫瘍が描出されたもの,20結節(80%),描出されなかったものは5結節(20%)であった.以下,陽性,陰性結節を各項目で比較した.陽性,陰性結節おのおの,(1)被膜形成15/20(77.5%),0/5(p<0.01).(2)腫瘍内門脈路3/20(15%),5/5(100%)(p<0.01).(3)免疫組織化学的に陰性結節の類洞様血管腔を証明した.肝動脈造影描出不能例は被膜形成がなく,腫瘍内に門脈路を認め,類洞様構造を有する置換型発育を示す特徴を有していた.
索引用語
腹部血管造影陰性肝細胞癌, 置換型発育, 腫瘍内門脈路
日消外会誌 22: 2265-2268, 1989
別刷請求先
調 憲 〒812 福岡市東区馬出3-1-1 九州大学医学部第2外科
受理年月日
1989年5月8日
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