原著
胃癌の漿膜面における肉眼的広がりと予後との相関
徳重 正弘, 愛甲 孝, 高尾 尊身, 帆北 修一, 島津 久明
鹿児島大学第1外科
教室におけるS2胃癌130例の,漿膜露出範囲を長径と短径で測定し,その相乗平均値をもとに1 cmごとに症例を区分し,各グループの50%生存期間を求めたところ,3 cm未満の群で有意に良好で,3 cm以上の群との間に明らかな差異が認められた.そこで胃癌取扱規約で定める他の予後因子,P,H,Nの構成を2群間で検討したが,両群間に有意の差を認めなかった.組織学的深達度については,3 cm以上の群でse症例の比率が有意に高かったが,se症例においても,3 cmを境にした両群間の生存曲線に有意差が認められた.以上より,漿膜露出面の広がりは比較的独立した因子として予後に影響を及ぼしているものと考えられた.
索引用語
漿膜露出胃癌, 漿膜浸潤面, 肉眼的広がり, 腹膜播種, 胃癌治療成績
日消外会誌 22: 2348-2352, 1989
別刷請求先
徳重 正弘 〒890 鹿児島市宇宿町1208-1 鹿児島大学医学部第1外科
受理年月日
1989年5月8日
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