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第22巻 第10号 1989年10月 [目次] [全文 ( PDF 535KB)]
原著

胃癌の腹膜播種性転移―術中洗浄細胞診と病理組織検索からみて―

今田 敏夫, 安部 雅夫, 野口 芳一, 田村 聡, 山本 裕司, 赤池 信, 天野 富薫, 松本 昭彦

横浜市大第1外科

 肉眼的に播種の認められない胃癌切除症例225例を対象とし,術中洗浄細胞診および病理組織学的検索により明らかとなった微小播種巣の結果と漿膜浸潤度,浸潤面積,組織型,治療成績とを比較検討した.
 漿膜浸潤陽性例129例のうち36例(27.9%)が洗浄細胞診陽性で,25例(19.4%)に微小播種巣が認められた.
 細胞診陽性例36例の3年生存率は8.3%と陰性例93例の52.7%に比べ著しく不良であった.微小播種巣陽性例27例のそれは14.8%であったが,細胞診ともに陽性であった症例15例は,すべて3年以内に死亡した.しかし,微小播種巣陽性でも,細胞診陰性であれば,その3年生存率は33.3%であることは,大網,小網,網のうを含めたen-bloc切除により治癒となりうる可能性があることを示していた.

索引用語
胃癌, 胃癌の腹膜播種性転移, 胃癌の術中洗浄細胞診

日消外会誌 22: 2353-2357, 1989

別刷請求先
今田 敏夫 〒232 横浜市南区浦舟町3-46 横浜市立大学医学部第1外科

受理年月日
1989年5月8日

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