原著
消化器癌の肝転移再発に対する予防法の研究
笠木 徳三, 田沢 賢次, 山下 巌, 石沢 伸, 増山 喜一, 藤巻 雅夫, 前田 正敏*, 本田 昴*
富山医科薬科大学第2外科, *同 RI施設
消化器悪性腫瘍の肝転移再発に対する予防的な治療を目的としてOK-432を中鎖脂肪でエマルジョン化して経口投与し,その効果を実験的,臨床的に検討した.腫瘍細胞AH60Cを用いたラットの肝転移実験において,OK-432中鎖脂肪エマルジョン経口投与群の転移抑制率は57.1%で,無処置群との間に有意差を認めた.細胞障害活性試験ではOK-432中鎖脂肪エマルジョン経口投与群は,腸間膜リンパ節43%,脾細胞50%,で水溶液投与群より高い傾向にあった.臨床例ではOK-432中鎖脂肪エマルジョン経口投与によりNK活性の低い担癌患者5例中3例が正常値に復した.またOKT4/OKT8比が上昇した.以上より,OK-432中鎖脂肪エマルジョン経口投与の有用性が示唆された.
索引用語
肝転移再発の予防, OK-432, 中鎖脂肪エマルジョン, biological response modifier, ラットの実験的肝転移
日消外会誌 22: 2364-2370, 1989
別刷請求先
笠木 徳三 〒930-01 富山市杉谷2630 富山医科薬科大学第2外科
受理年月日
1989年6月7日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|