原著
ラット同種膵十二指腸移植におけるCiclosporin,FK506投与による生着延長効果
山下 隆史, 前田 敬文, 森本 修, 橋本 仁, 永井 裕司, 中河 宏治, 石川 哲郎, 大平 雅一, 朴 利敦, 矢田 克嗣, 吉川 和彦, 梅山 馨
大阪市立大学第1外科
膵移植の成績は他の臓器移植に比べ移植手技,免疫抑制剤の問題もありなお不良である.
今回,近交系ラットを用い十二指腸合併膵移植を行い,Ciclosporin(CsA),FK506(FK)投与による移植膵十二指腸の生着延長効果について検討した.CsA 5 mg/kg投与群(8匹)では移植膵,十二指腸とも2か月後(5匹)はほぼ正常に近い組織構造が保たれていたが,4か月(3匹)ではいずれも拒絶される傾向がみられた.一方,FK 0.48 mg/kgからの漸減投与(6匹)では移植2か月,4か月(各3匹)のいずれも膵,十二指腸とも良好な組織像を示し,肝,腎への形態学的変化がほとんどなかったことから,FK漸減投与による十二指腸合併膵移植は今後臨床応用への期待が大きいと思われた.
索引用語
膵移植, 十二指腸合併膵移植, Ciclosporin, FK506
日消外会誌 22: 2383-2390, 1989
別刷請求先
山下 隆史 〒545 大阪市阿倍野区旭町1-5-7 大阪市立大学医学部第1外科
受理年月日
1989年5月8日
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