原著
肛門管癌の臨床病理学的検討
林 賢, 廣田 映五, 板橋 正幸, 北條 慶一*, 森谷 宜皓*, 沢田 俊夫*
国立がんセンター研究所病理部, 同 病院外科*
過去25年間に切除された肛門管癌55例を組織型および占居部位(歯状線を境界に上部群,下部群に分類)を中心に臨床病理学的に検討した.腺癌24例では75%が上部群で扁平上皮癌14例,粘液癌13例ではそれぞれ64%,69%が下部群であった.リンパ節転移は44%,鼡径リンパ節転移は24%であり,粘液癌はリンパ節転移23%と低率で,下部群は鼡径リンパ節転移32%と高率であった.5年生存率は組織型別では粘液癌(67%)が腺癌(52%)扁平上皮癌(42%)より良好であり,占居部位別では上部群(66%)が下部群(33%)より有意に良好であった.遠隔成績,鼡径リンパ節転移状況からみて肛門管癌を上部群と下部群に分類することは予後を判断する上に有用であると考えられた.
索引用語
肛門管癌, 肛門管癌の組織型別進展様式, 肛門管癌の鼡径リンパ節転移, 上部肛門管癌, 下部肛門管癌
日消外会誌 22: 2414-2420, 1989
別刷請求先
林 賢 〒104 中央区築地5-1-1 国立がんセンターレジデントルーム530号
受理年月日
1989年5月8日
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