原著
stage IV食道癌のリンパ節郭清の意義
馬場 政道, 島津 久明, 福元 俊孝, 野口 靖彦, 中野 静雄, 草野 力, 牟礼 洋, 榎本 稔美, 森永 敏行, 田辺 元, 吉中 平次, 愛甲 孝
鹿児島大学医学部第1外科
n3-4(+)で,深達度a2までのstage IV食道扁平上皮癌根治切除85例を,頸部,後腹膜リンパ節(No.8,9,11,16)転移の有無から4型(頸・後腹膜(-)型33例,後腹膜型18例,頸部型28例,頸・後腹膜型6例)に分類し,リンパ節郭清の意義を検討した.3領域郭清32例では7割が頸部転移,3割が胸・腹腔内転移によりstIVと規定された.頸・後腹膜(-)型の5年生存率は22%で,気道群(No.106,107,109)転移の有無により予後が左右された.後腹膜型の5生率は28%で,気道群から腹腔動脈領域の郭清が重要である.従来,3年生存例がなかった頸部型では,3領域郭清により5生率15%となったが,郭清範囲内の頸部・上縦隔再発例が多かった.頸・後腹膜型では,3年以上生存例を認めなかった.
索引用語
stage IV食道癌, 食道癌の3領域リンパ節郭清, 食道癌相対非治癒切除
日消外会誌 22: 2555-2562, 1989
別刷請求先
馬場 政道 〒890 鹿児島市宇宿町1208-1 鹿児島大学医学部第1外科
受理年月日
1989年7月10日
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