ヌードマウス可移植性ヒトalpha-fetoprotein産生食道腺癌株の樹立に関する研究

西和田　敬, 中谷　勝紀, 宮城　信行, 澤田　秀智, 奥村　徹, 渡辺　明彦, 山田　行重, 志野　佳秀, 矢野　友昭, 中野　博重, 小西　陽一^1）

奈良県立医科大学第1外科, 奈良県立医科大学付属がんセンター腫瘍病理^1）

　ヒトalpha-fetoprotein（AFP）産生食道腺癌のヌードマウス皮下での移植継代に成功し，その生物学的特性を検討した．移植材料は胸部中部食道（Im）に発生した食道腺癌の転移リンパ節より得た．血清AFP値は351.5 ng/mlと高値であり，食道原発巣および転移巣内にAFP染色陽性細胞を確認した．現在14代まで継代し生着率は100％であり腫瘍重量倍増時間は平均14.4日であった．担癌マウス血清AFP値は腫瘍重量と有意の相関があった．皮下継代腫瘍からの腫瘍細胞浮遊液のマウス脾臓内注射（IS）により75％に肝転移が生じた．肝転移マウスの血清AFP値はIS後経時的に増加した．本移植系の樹立はAFP産生腺癌の生物学的特性を究明するのに有用であると考えられる．

索引用語
ヒトAFP産生食道腺癌, ヌードマウス, 細胞浮遊液脾臓内移植

別刷請求先
西和田　敬　〒631　奈良市平松1-30-1　奈良県救命救急センター

受理年月日
1989年7月10日

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