原著
胃癌手術における摘脾の免疫学的影響
本田 亮一, 小林 一雄, 加瀬 肇, 佐藤 行彦, 柳田 謙蔵, 吉雄 敏文
東邦大学第1外科
胃癌手術における摘脾術が術後の免疫能にどう影響するのかを明らかにする目的で,88例を対象に進行度別,摘脾・非摘脾別に免疫学的指標の推移を比較した.また33例に術中の脾静脈採血を行い,免疫学的特徴について検討した.摘脾群では進行度に関係なくOKT4細胞比,OKT4/OKT8比の低下傾向とIgG FcR(+)T細胞比,Leu7細胞比の術後早期からの上昇を認めた.各stageの脾静脈血でprostaglandin E2は末梢血に比べ高値を示した.また進行例ではCD8(+)・CD11(+)細胞比の高値とCD4(+)・2H4(+)細胞比の低値を認めたが,CD16(+)・Leu7(+)細胞比やNK活性はstage IVでも比較的高値を維持していた.したがってなお摘脾の是非を即断するのは困難であると考えられた.
索引用語
胃癌患者の免疫能, 摘脾術, 非特異的免疫パラメーター
日消外会誌 22: 2606-2614, 1989
別刷請求先
本田 亮一 〒146 大田区矢口3-28-8 707号
受理年月日
1989年7月10日
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