消化器外科手術前後における慢性肝疾患併存と凝固線溶系変化の検討

平田　公一, 唐沢　学洋, 相沢　誠, 山田　毅, 向谷　充宏, 和田　好正, 北川　一彦, 白松　幸爾, 戸塚　守夫, 早坂　滉

札幌医科大学第1外科

　教室で一定期間内に施行した上腹部消化器外科手術109例を手術侵襲度および肝疾患併存（慢性肝炎・肝硬変）の有無から4群に分け，術前後の凝固線溶変化を観察しこの変化と胆汁うっ滞あるいはエンドトキシン血症発生との関係を検討した．DICスコア有得点例は40例で5点以上の5例，3点以上の19例中18例（95％）は肝疾患併存例であった．術後胆汁うっ滞，エンドトキシン血症発生については，肝疾患併存例でそれぞれ24.2％，39.8％であるのに対し，非併存例で1.3％，3.0％と両者間に明らかな差を認めた．なお，術後Gabexate Mesilate 30～40 mg/kg/日投与の凝固線溶発生予防あるいは改善としての有用性を確認した．

索引用語
手術前後凝固線溶変化, 慢性肝疾患併存症, 胆汁うっ滞, Endotoxin

別刷請求先
平田　公一　〒060　札幌市中央区南1条西16丁目　札幌医科大学第1外科

受理年月日
1989年6月7日

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