原著
大腸癌肝・肺転移再発症例の臨床病理学的特徴とcarcinoembryonic antigenダブリングタイム値に関する検討
山田 一隆, 石沢 隆, 中野 静雄, 春山 勝郎, 桂 禎紀, 長谷 茂也, 鮫島 隆志, 丹羽 清志, 高尾 尊身, 島津 久明
鹿児島大学第1外科
教室の切除大腸癌308例における肝・肺転移例(同時性46例,異時性22例)と非転移例の臨床病理学的所見を比較検討した結果,有意差がみられた因子はリンパ節転移と静脈侵襲であり,両因子は肝・肺転移の危険因子であることが示唆された.carcinoembryonic antigen(CEA)ダブリングタイムから検討すると,同時性肝・肺転移11例における生存期間とCEAダブリングタイムは有意の相関を示し,腫瘍の発育速度をよく反映していた.また,治癒切除後のCEAダブリングタイムの平均値は,肝再発5例では51.7日,肺再発4例では129.7日であり,両者の間に有意の差異が認められた.すなわち,術後のCEAダブリングタイム値の検討より肝再発か肺再発かの推測が可能であると思われた.
索引用語
大腸癌肝転移, 大腸癌肺転移, 大腸癌の増大速度, carcinoembryonic antigen
日消外会誌 22: 2660-2665, 1989
別刷請求先
山田 一隆 〒890 鹿児島市宇宿町1208-1 鹿児島大学医学部第1外科
受理年月日
1989年7月10日
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